Key of Life-現代を生き抜くためのメッセージ Section2

006 Bumblebee

「僕の大学に来て、話してくれないか?」とロジャーに頼んだ。
すると笑顔で「もちろん」と言って、本当にやってきた。

あの大きな体でのエコノミークラスの旅は、すごく辛かったに違いない
それでも来てくれたのはなぜだったろう?

「もっと人々を力づけたい!」
「特に、若い人々の自己肯定感を強めたい!」

そんな思いを込めて、ロジャーは大勢の学生たちを前に
「Bumblebee」のストーリーを語り出した。

この蜂は、巨体なのに、羽根がとっても小さく弱い。
だから構造上は「飛ぶことはできない」とされてきた。
でも「Bumblebee」は、いつも目の前を飛んでいる。
「それはなぜだと思うか?」

ロジャーは、学生たちの目をじっと見つめ
真剣に訴えた。

「それは…この蜂が、誰よりも飛びたいと、強く望んでいるからなんだ!」
「そしてあなたも、強く望むなら、この蜂のように、飛ぶことができるんだ!」

あの日、ロジャーが伝えたことは、馬鹿げたことだったか?
あまりにも楽観的で、理想的、ありえない話だったか?
それとも真実のことだったか?

確かなことは、彼は本当にそう信じていたし
そのことを、自分の言葉で伝えたくて
何時間も海を越えてやってきたのだった。

そもそも私たちは、本当に「飛びたい」と願っているのだろうか?
もしかすると、厳しい現実と向き合う苦しさから
「飛びたい」という気持ちすら、捨ててしまったのかもしれない。
だとすれば…まだ間に合うだろうか?

人生を生きるとは「選ぶこと」
「勇気」を選ぼう
「希望」を選ぼう
そして「強く望む」ことを、もう一度、選んでみないか?

その後、ロジャーは、「過去の自分の失敗」について、話を続けた。

007 ルーロン

ロジャーは、スピーチセラピストとして
ルーロンという学習障害の子を担当した。
幼いルーロンはレスリングが好きで
将来、オリンピックに出るのが夢だった。

「絶対に無理だ!」
「もっと君にできそうなことを選んだ方がいい」
ロジャーは、必死に反対した。
悲しませたくなかったのだ。

ルーロンはレスリングを続けた。
でも公式の試合に出ることは、ほとんどなかった。
チャンスは高校時代の最後に訪れた。
その日、ルーロンが対戦相手をマットに沈めた時、誰もが驚いた。

「いつかオリンピックの選手になりたい」と話すたび
「No,No,No!そんなに簡単じゃない」
ロジャーは反対し続けた。

しかしルーロンはあきらめなかった
州のタイトルを獲得し続け
ついにオリンピックに出場する機会をつかんだのだ。
2000年シドニーオリンピックでのことだった。

決勝まで進んだとき、アメリカ国民、誰一人
ルーロンに勝ち目はないと思ったという。
相手は、ロシアのレジェンド「アレクサンドル・カレリン」
グレコローマンスタイルでは、13年間、無敗を誇っていた。
結果はどうだったろう?
ルーロンが勝利したのだった!

ルーロンは、支えてくれた多くの人々に感謝した。
彼は自分の先生だったロジャーにも感謝を伝えた。
それを聞いてロジャーは言った。

「許してほしい…私がしてきたことを覚えているだろう?」
「ずっと、君には無理だと言い続けてきた。あなたの夢を奪おうとしてきたんだ」

苦い経験を打ち明けた後、ロジャーは言った。

決して、決して、誰にも、あなたの夢を奪わせてはならない!
「あなたは、もし望むなら、Bumblebeeのように飛ぶことができるんだ!」

人生を生きるとは「選ぶこと」
「勇気」を選ぼう
「希望」を選ぼう
そして、誰が何を言ったとしても
「あきらめない」ことを選ぼう!
そうすれば、いつか、あなたは飛ぶことができる!

Some people are just naturally good.
I always found ways to become good.
-Rulon Gardner-

008 あなたは素晴らしい人生を歩いている

「自分などいない方が、みんな幸せになった!」
絶望したジョージは、川に身を投げようとする。
その時、天使クラレンスがやってくる…

クリスマスの夜、家族で一緒に見た
映画「It’s a wonderful life」を思い出す。

ジョージの夢は、小さな町を出て
世界を駆け巡ること
でもそれは叶わなかった。

急死した父の小さな住宅金融会社を継ぎ
家族と町の人々の幸せのために生きることを選んだからだ。

その彼がクリスマスの日、悲劇に見舞われ
追い詰められ、飛び出し、自殺を図ろうとした。

「自分など、この世にいない方が良かった!」と嘆くジョージに
クラレンスは、彼が存在しない、架空の世界を経験させる…

ジョージが通りに出ると、いつもの町の風景はなく
会社や家も存在せず、妻や子供たちもいない。
かつてジョージが助けた愛する人々は
荒んだ心のまま、今も不幸な暮らしを続けていた。
ジョージがいなかったことで、助けを受けられなかったのだ。

苦しみのあまり、ジョージは叫び、そして祈る―
「 I want to live again! I want to live again!
Please, God, let me live again!」

彼は、その時はじめて
「自分の人生が素晴らしいものだった」と気づいたのだ。

時折、物事がうまくいかないと、絶望し
「自分などいない方がいい」と感じることがある。

そんな時、わかってほしい
あなたがもし、本当にいなかったなら、ほかの人の人生は
まったく違ったものになってしまう。

あなたが生まれてきたことで、喜びを感じた人々
あなたが友達になってくれたので、人生が動き出した人々
あなたが今も負けずに生きていることで、勇気をもらえた人々
ぜんぶ、あなたがいてくれたからなんだ。

覚えていてほしい
あなたは素晴らしい人生を歩いている!

人生を生きるとは「選ぶこと」
「勇気」を選ぼう
「希望」を選ぼう
そして、これからも「素晴らしい人生を歩くこと」を選ぼう!

009 飛ぶ鳥になる

飛ぶ鳥は、落ちることがあるけれど
飛ばない鳥は、鳥ではない。

もしあなたが、まだ痛みを抱えて生きているなら
それはきっと、空から落ちてきた時の傷が、癒えていないのだ。

その痛みを恥じる必要などないじゃないか?
だってそれは、かつてのあなたが
空を思いきり飛び回っていたという証なんだから。

あなたは今、空を見上げながら、考えている。
「もしかしたら、もう二度と、飛べないんじゃないか?」と恐れている。
心無い人は、あなたに言うだろう。
「このまま地上で過ごせばいいじゃないか」

だけど、あなたは自分が何者かを知っている。
あなたは「飛ばない鳥」ではく、「飛ぶ鳥」なのだ。
私は、あなたがもう一度、その翼を大きく広げるのを見たい。

人生を生きるとは「選ぶこと」
「勇気」を選ぼう
「希望」を選ぼう
そして、落ちることなど恐れず、もう一度「飛ぶ鳥」になることを選ぼう!

010 勇気の箱

校門の前で「勇気の箱」を売っている人がいて
「いくらですか?」と聞くと
「千円です」と言われた。

「あなただったら買う?」と私
「高いから買わない」
学生たちが、笑いながら答える。

その時の私は、気持ちが落ちていて
力をくれる何かを必要としていた。
だから「勇気の箱」を買ったんだ。

そう言って「箱」を見せると
学生たちは、疑わしそうな表情で見つめ返す。

「中を開けると紙切れがあって
そこに、ひとつの言葉が書かれてあった。
それは何だと思う?」と聞くと

学生たちは、互いの考えを伝え始める。
きっと、過去に自分がかけてもらった「言葉」を
思い出していたのかもしれない。

「この箱に、どんな言葉が入っていたらいいと思う?」

そう尋ね、実際に紙に書いてもらい、集めてみた。
すると、ある言葉だけが、ダントツに多かった。

「君ならできる!」「君ならできる!」「君ならできる!」

その瞬間、私は大切なことを知った。
若い彼らだけじゃない。
誰もが、心の奥底で、この言葉を望んでいるのかもしれない。

「私はそんな風に言われたくない!」
もちろん、そう言う人もいる。

だけどもう一度、深く考えてほしい。
今の時代、私たちは、真逆な言葉に、深く傷ついてはいないだろうか?

「君にはできない!」「君にはできない!」「君にはできない!」
こうした言葉の暴力を、許すことはできない。

「綺麗ごと」だと思うかもしれないが
こうしたらどうだろう?

まずその人のことを良く知ろう
そうすれば、「強さ」や「可能性」が見えてくる。

そして、苦しんでいると知ったなら
「勇気の箱」に、沢山、言葉を入れてあげよう。

「君ならできる!」「君ならできる!」「君ならできる!」

そこにあなたの「真心」が込められていれば
絶対に千円以上の価値はある!

人生を生きるとは「選ぶこと」
「勇気」を選ぼう
「希望」を選ぼう
そして「君にはできる!」という言葉を信じてほしい!