Key of Life-現代を生き抜くためのメッセージSection3

011 君は、今日、頑張って生きているんだ

四谷駅構内で、電気工事の仕事をした。
親方が高い所で作業し、必要な材料が出てくると
下にいる私が取りに行き、手渡す。
そういうはずだった。

しかし親方は、何でも一人でやった。
必要なものが出てくると、高い所から降り
自分で事務所へ行き、取ってくる。
そして、平然と作業を続けた。

「私は必要ないんだな」
わかっていたけど、帰るわけにもいかない。
だからずっとその場所で、空を見上げ、立ち尽くしていた。

悔しかった。悲しかった。
だから自分を励ますように言い続けた。
「傷つくことがなぜ悪い?」
「君は、今日、頑張って生きてるんだ!」

もし人生を懸命に生きようとするなら
決して、無傷ではいられない。
誰かの、心無い言葉や行動に
失望しながら、空を見上げ、立ち尽くすことだってある。

だから、何度でも言ってあげよう。
「傷つくことがなぜ悪い?」
「君は、今日、頑張って生きてるんだ!」

人生を生きるとは「選ぶこと」
「勇気」を選ぼう
「希望」を選ぼう
そして、「傷つくこと」など恐れず
今日一日、「頑張って生きる」ことを選ぼう!

012 「よし!」

「まぁ座れ」と言って、社長の弟は、図面を広げた。
「この区画を任せるから、配線してこい!」
そう言って、古いカレンダーの裏に
私のするべきことを、箇条書きで書いた。

はじめて仕事を任され
ものすごく不安だったが
材料を集め、図面を片手に、必死でやり終えた。
すると社長の弟がやってきて、見渡し、言った

「よし!」

この言葉が、私の中で輝いた。

彼は、次々に、やるべきことを教え
何度も言った。

「よし!」「よし!」「よし!」

すべての配線が終わると
「ちゃんとつくか見てみよう」
とスイッチを入れた。

すると広い工場のすべての電灯が
波のように、部屋を照らした

彼は大きな声で言った。
「よし! これでいいんだ!」

人を育てるとは、こういうことだ。
やるべきことをちゃんと教え、確認し
大きな声で「よし!」と言ってあげる。
これが「勇気」になり「希望」になるんだ。

あなたに、それができるだろうか?

自信を失ってしまった人に
やるべきことを教え、そして言ってあげよう

「よし! それでいいんだよ!」

人生を生きるとは「選ぶこと」
ならば、「勇気」作り出せる人になろう
「希望」を作り出せる人になろう
そして、大きな声で、自分にも、相手にも、言ってあげるんだ。
「よし!」「よし!」「よし!」
あなたの言葉は、いつまでも、彼らの心の中で輝き続けるだろう。

013 人は必要とされる場所へと向かう

朝5時 カプセルホテルのお風呂
若い3人組が お湯につかり 話し合っている。

一人が語り出す。
「お前ら、やり方が悪いんだよ。俺なら こうする」

それを聞いていた二人が話す。
「なんかうまくいかないんですよね、どうすればよかったんだろ」
「もっと学ばないといけないですよね」

朝5時、若者たちが、自分たちの仕事について
真剣に語り合う姿に感動する。
ただ1点 伝えておかないといけないことがある

彼ら3人、体に入れ墨が入っている。
だから、話していたのは「よくない仕事」のようだ。

私は悲しい気持ちになった。
彼らは、人生のどこかの時点で、別の世界へと入ってしまった。
それはなぜだろう?

友達や家族、学校や社会は、彼らを必要としなかった。
その時、彼らを必要としたのが、今の世界だった。

もしあなたや私が、彼らのことを必要としていたならば
私たちのもとに、とどまったかもしれない。

人は必要とされる場所へと向かう!

あなたや私もそうなのだ。
だから、あなたの大切な人に、いつまでも一緒にいてもらいたいなら
「あなたが必要だ」と伝えないといけない。

自分が必要とされていると感じるなら、彼らは、あなたのもとにとどまる。
たとえ、今、離れていても、いつか戻ってくる。

大切な人に「あなたが必要だ」と伝えよう。
そして、あなただって、誰かに必要とされていることを覚えておこう。

014「ちびっこ機関車くん」の物語

おもちゃや、美味しい食べ物を、沢山のせた
小さな列車が、とまってしまった。
このままだと、山の向こうにいる子どもたちが、悲しんでしまう…

そこへ、ピカピカの新しい機関車が、通りかかった
「山の向こう側まで連れていってもらえないか?」
ピエロが頼むと
「何を馬鹿な、私はお客様用だ!」と
鼻を鳴らして断った。

次に大きな機関車が通りかかったが
「俺様は、大型貨物用だぞ!」と断った。

年老いた機関車がやってきたが
「わしはもう、くたくただ、わしにはできない」と答えた。
人形やおもちゃたちは、今にも泣きだしそうだった。

そこへ、ちびっこの青い機関車がやってきた。
事情を聞いた機関車は言った。

「ぼくは、とっても小さくて、まだ山を越えたことなどない…だけど」
「できると思う!」

ちびっこ機関車くんは、すべての貨車を自分につなぎ
ゆっくりと、動き出す。

「しゅっ しゅっ ぽっぽ…」
「できると思う! できると思う! できると思う!」
そう言って、山の頂上へと登っていく。

「しゅっ しゅっ ぽっぽ…」
「できると思った! できると思った! できると思った!」
そう言って、山を下った。

この物語から得られる教訓とは何だろう? 
断った機関車たちは、経験も豊富で、やればできたはず
だけど、引き受けようとはしなかった。

ちびっこ機関車くんは違っていた。
自分がやらなければ、困る人々がいるのが気になった。
経験はなかったが、「できると思う!」という態度で
山を越えようとした。
そして確かに、やり遂げたのだ!

人生を生きるとは「選ぶこと」
「できると思う!」という態度を選び
誰かを助けるために、山を登ろう!

止まってしまった貨車たちが、沢山いる。
彼らは、今、あなたが来るのを待っている。

015 新米先生-できると思う!

ちびっこ機関車君のような人を知っている。
あれは娘が小3の秋、「担任が失踪した」と連絡を受けた。
集まった親たちは、みなショックを受けた。
子どもたちは、もっと動揺していたに違いない。

一通りの説明の後、代役の先生が紹介された。
髪が少し爆発しかけ 背広を窮屈そうに着ている
若い先生が、不安そうに立っていた。
今度のことがあり、臨時で雇われたのだそうだ。

担任の失踪など、前代未聞だが
その後任が新米の先生だと知って驚いた。
さらに驚いたことに、彼とはどこかで会ったことがある。

思い出した! この若い先生、つい先日まで
小学校の隣のガソリンスタンドで働いていた人だ!
親たちは、さらに動揺した。

しかし、この新米の先生、経験こそなかったが、ひるまなかった。
子どもたちの心を、すぐに射止めてしまったのだ。

学校から帰宅した娘の話は、全部、この先生のことだった。
先生が話したこと、先生と遊んだこと…
クラス全員が、この先生と一つになっていった。

学年の終わりが近づき、先生とのお別れがやってきた。
娘は貯金をはたいて、プレゼントをたくさん買った。
子どもたちみんなで、色紙やお別れ会も準備していた。

終業式 娘がなかなか戻ってこないため 
親たちは 学校に迎えに行った。
そこには、素晴らしい光景があった。

ほかのクラスがすべて帰ってしまったなか
このクラスの子ども全員、教室から帰ろうとしない。
みんな涙を流しながら、この先生とのお別れを惜しんでいた。

新米の先生は言った。
「だめじゃないか、ほらもう帰った、帰った」
そういう先生の顔が、涙でぐしゃぐしゃだった。

ちびっこ機関車くんと同じように
この先生は、自分がやらなければ、子どもたちが困ると知っていた。
経験こそなかったが、「できると思う!」という態度で
大きな山を越えようとした。
そして確かに、やり遂げたのだ!

人生を生きるとは「選ぶこと」
「できると思う!」という態度を選び
誰かを助けるために、あなたも山を登ろう!

人生をあきらめてしまった人々が、沢山いる。
彼らは、今、あなたが来るのを待っている。